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紋附き

しづかな、秋のくれがたが
きれいな紋つき、着てました。

白い御紋は、お月さま
藍をぼかした、水いろの
裾の模様は、紺の山
海はきらきら、銀砂子。

紺のお山にちらちらと
散った灯りは、刺繍(ぬひ)でせう。

どこへお嫁にいくのやら
しづかな秋のくれがたが
きれいな紋つき着てました。


        金子みすず
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2009.11.05 Comment:0 | TrackBack:0
片づけをしていて、古い手帳に書き付けてあった工藤直子さんの素敵な詩に再会しました。




あいたくて/工藤直子

あいたくて
だれかに あいたくて
なにかに あいたくて
生まれてきた
そんな気がするのだけれど

それが だれなのか なになのか
あえるのは いつなのか
おつかいの とちゅうで
迷ってしまった子どもみたい
とほうに くれている

それでも 手のなかに
みえないことづけを
にぎりしめているような気がするから
それを手わたさなくちゃ
だから

あいたくて
         
2009.09.22 Comment:6 | TrackBack:0
言葉というのは駄目なものだ、てんでからきし嘘のものだ、言葉というのは誰よりも他人だ、言葉をすてきなものと思ってしまえばとても苦しいことになる、言葉が抱けるなんてこの世界の実はほんとはどこにもない、甘さも、青さも、悲しいも、この発音からそれが指し示そうとするものからどれくらい深く断絶されてあることか(川上未映子「夜の目硝子」より)



去年、芥川賞を受賞した川上未映子さん(受賞作『乳と卵』)が、今度は詩で第14回中原中也賞を受賞されたそうだ。詩集名は『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)。
上に引用した詩の一部は、3月14日(土)の朝日新聞に掲載されていたものだが、この部分だけでもとても面白い。もっと読んでみたいと思った。『乳と卵』は読みたいとは思わなかったんだけど、この人の詩には興味が引かれる。
2009.03.19 Comment:6 | TrackBack:0
水のたとえ/谷川俊太郎

あなたの心は沸騰しない
あなたの心は凍らない
あなたの心は人里離れた静かな池
どんな風にも波立たないから
ときどき怖くなる

あなたの池に飛び込みたいけど
潜ってみたいと思うけど
透明なのか濁っているのか
深いのか浅いのか
分からないからためらってしまう

思い切って石を投げよう あなたの池に
波紋が足を濡らしたら
水しぶきが顔にかかったら
わたしはもっとあなたが好きになる

(1月16日朝日新聞記事より)
2009.01.16 Comment:0 | TrackBack:0
第3回みんなの「のはらうた」大賞(主催・朝日小学生新聞、童話屋、後援・朝日新聞社)は、応募総数約1万8千編の作品の中から、11作品の大賞が決まったそうです。
朝日新聞紙面には6作品が紹介されていました。
その中で、私がいいなと思ったのは「いしころかずお賞」の東和希くんの詩です。



「にょろにょろ」
                なめくじにょろ



みんなは
ぼくのこと
にょろにょろしてきもちわるい
っていうんだ

でも
ぼくは
にょろにょろしてきもちいいんだ




東和希くん(和歌山県・白浜町立日置小学校1年)
2007.11.12 Comment:0 | TrackBack:0
獣めく夜もあった
にんげんもまた獣なのねと
しみじみわかる夜もあった

シーツを新しくピンと張ったって
寝室は 落ち葉かきよせ籠もり居る
狸の巣穴とことならず

なじみの穴ぐら
寝乱れの抜け毛
二匹の獣の匂いぞ立ちぬ

なぜかなぜか或る日忽然と相棒が消え
わたしはキョトンと人間になった
人間だけになってしまった



    茨木のり子/『歳月』
2007.03.20 Comment:5 | TrackBack:0
ハクモクレンの蕾が ふくれあがる
木立の下をすべって
襲いかかってくる 飢えたヒヨドリたち
どのふくらみも 熱を帯びて動いている

お茶碗には 煎茶
ちょっと 麩まんじゅうを買ってこよう
といって 出ていった人が
土くれの路を だんだん小さくなっていく
畳には 巻かれた革帯がころがっている

単振動の やさしい風が
幼児の襟のフリルを 揺らしている
世にこれから触れるものは いつも
とても熱くて 皮が薄い

ハクモンレンの花びらが 散りしきる
まぶしい 道のわき
発情し終えた猫が 眠っている
2007.03.03 Comment:2 | TrackBack:0
今日、鳥に
            河津 聖恵(かわづきよえ)


今日、鳥に出会わない
世界にいるのだろうか 鳥は
鳩のくぐもるような声で
背後であなたがこたえる この雨だからね・・・・・
くらがりのなかで体をふくらませているのだ
それはどんなくらがりか 世界には
雨をよけるための危うい庇が無限にある
昨夜、鳥のあたたかな胸をつつむように
てのひらを握り合って眠ったあなたとわたし
鳥は 朝には影の斑(ふ)となり
愛のように 不安のように
空のふかさをいつも揺らせて
カップの金縁とルビーの水面と電灯の反映
鳥の黒い目のようなくらがりに
今朝はつつまれている
何が始まったのか分からない本当のはじまり
そんなはじまりが私たちの一刻一刻にある
鳥 その汚れた翼
閉ざされた黒い目とおおいなる空白
ひとよりも鮮烈な白い空をみているか
わたしたちの鳥をめざし
無数の電線と庇を翳らせて
雲はパールグレーの水粒子を放って繋がる


               @朝日新聞掲載
2006.06.09 Comment:0 | TrackBack:0
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