第3回みんなの「のはらうた」大賞(主催・朝日小学生新聞、童話屋、後援・朝日新聞社)は、応募総数約1万8千編の作品の中から、11作品の大賞が決まったそうです。
朝日新聞紙面には6作品が紹介されていました。
その中で、私がいいなと思ったのは「いしころかずお賞」の東和希くんの詩です。



「にょろにょろ」
                なめくじにょろ



みんなは
ぼくのこと
にょろにょろしてきもちわるい
っていうんだ

でも
ぼくは
にょろにょろしてきもちいいんだ




東和希くん(和歌山県・白浜町立日置小学校1年)
2007.11.12 Comment:0 | TrackBack:0
獣めく夜もあった
にんげんもまた獣なのねと
しみじみわかる夜もあった

シーツを新しくピンと張ったって
寝室は 落ち葉かきよせ籠もり居る
狸の巣穴とことならず

なじみの穴ぐら
寝乱れの抜け毛
二匹の獣の匂いぞ立ちぬ

なぜかなぜか或る日忽然と相棒が消え
わたしはキョトンと人間になった
人間だけになってしまった



    茨木のり子/『歳月』
2007.03.20 Comment:5 | TrackBack:0
ハクモクレンの蕾が ふくれあがる
木立の下をすべって
襲いかかってくる 飢えたヒヨドリたち
どのふくらみも 熱を帯びて動いている

お茶碗には 煎茶
ちょっと 麩まんじゅうを買ってこよう
といって 出ていった人が
土くれの路を だんだん小さくなっていく
畳には 巻かれた革帯がころがっている

単振動の やさしい風が
幼児の襟のフリルを 揺らしている
世にこれから触れるものは いつも
とても熱くて 皮が薄い

ハクモンレンの花びらが 散りしきる
まぶしい 道のわき
発情し終えた猫が 眠っている
2007.03.03 Comment:2 | TrackBack:0
今日、鳥に
            河津 聖恵(かわづきよえ)


今日、鳥に出会わない
世界にいるのだろうか 鳥は
鳩のくぐもるような声で
背後であなたがこたえる この雨だからね・・・・・
くらがりのなかで体をふくらませているのだ
それはどんなくらがりか 世界には
雨をよけるための危うい庇が無限にある
昨夜、鳥のあたたかな胸をつつむように
てのひらを握り合って眠ったあなたとわたし
鳥は 朝には影の斑(ふ)となり
愛のように 不安のように
空のふかさをいつも揺らせて
カップの金縁とルビーの水面と電灯の反映
鳥の黒い目のようなくらがりに
今朝はつつまれている
何が始まったのか分からない本当のはじまり
そんなはじまりが私たちの一刻一刻にある
鳥 その汚れた翼
閉ざされた黒い目とおおいなる空白
ひとよりも鮮烈な白い空をみているか
わたしたちの鳥をめざし
無数の電線と庇を翳らせて
雲はパールグレーの水粒子を放って繋がる


               @朝日新聞掲載
2006.06.09 Comment:0 | TrackBack:0