fc2ブログ
26日(水)朝日新聞に、歌人の近藤芳美さんが長年間務められた朝日歌壇の選者を退かれるという記事があった。去年買い求めた短歌専門誌に、近藤さんの最近のご様子が写真とともに紹介されていて、かなりお年を召されたなぁと思っていたのだけど。今年で92歳。朝日歌壇が現在のスタイルになってからの50周年を目前に、健康上の理由で引退されるそうだ。

記事の中、かぎかっこでくくられた近藤さんの想いをPICK UP。
「この歌は、まさに自分のことじゃないか。それなら自分もつくってみようと、つくる。そこに民衆の短歌の原点がある」
「僕自身もまた、そうした歌によって触発された。原点とは何か、選歌しながら常に見ていた。あらゆる影響の中で、朝日歌壇が最も大きく僕に影響したかもしれない」
「戦争の歌ばかり採ると、よく言われる。しかしね、日本は長く平和だけど、遠いどこかで常に続いてきた戦争が日本とは無関係とは言えない。イラクだって、ひとごととは思えない。戦争がじかに我々の四囲を取り巻いていることに、短歌は他の文芸より敏感なんです」
「何のために作るか、との問いを失って、短歌自体が難しい局面にある。それは、新聞歌壇がその性格を失っていくことと並行している。時々、生活をうたう、という原点を振り返ってみてほしい」


短歌の原点とは、心に生まれいずる日々の想いを限られた字数の中に託すこと。近藤さんのメッセージからそう感じた。短歌は、自分の生活と切り離しては歌えない。私小説であり、メッセージソングである。


「拙き文字貧しき表現を通すもの信じて行かん地を這える声」 (近藤芳美『歌い来しかた』より)




こんどうよしみ
1913年、朝鮮半島の馬山に生まれる。本籍は広島県。
31年、「アララギ」に入会し、短歌を始める。
スポンサーサイト



2005.01.26 Comment:0 | TrackBack:0