上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--
われよりも機嫌をとるのに面倒なパソコン相手に夫はやさしき(沼津市・森田小夜子)


徴兵も強(あなが)ち悪とは言い切れず地べたに座る若者見れば(赤穂市・堀 百合子


会見で頭を下げる経営者の握り潰したメモの切れはし(松山市・吉岡健児)
スポンサーサイト
2006.07.31 Comment:0 | TrackBack:0
ぬばたまの闇がさあっとかぶさりぬ線香花火の雫が落ちて(調布市・水上芙季)

してやったり水にぎらつく太陽を砕きでっかい岩魚あらわる(山形県・清野弘也)

仲居さんが携帯するらしケイタイがずらり並べり朝の帳場に(東京都・井上良子)



1首目:情景がうかぶ歌。場所は浜辺がいいな。町明かり、家明かりから遠い場所。
線香花火の小さな明かりが、ぱっと消えて真っ暗になる。「闇がさあっとかぶさりぬ」が言い得ている。

そういえば、さださんの歌に「揺らしちゃだめだよ 言ってるそばから 火花がぽとりと 落ちてじゅっ」(線香花火)っていうのがあったなぁ(^^)


2首目:太公望の歌。「水にぎらつく太陽」ということは、明け方から釣りはじめたとすれば、ずいぶん粘っていたのだろう。
太陽を砕くような大きな釣果、「してやったり」に得意顔が見えるようだ。


3首目:壮観。今の時代は、仲居さんもケイタイで、調理場や事務所と連絡しあっているんだ。こんな場面見てみたいなぁ。私なら、ケイタイで写真を撮ると思う(笑)
2006.07.25 Comment:0 | TrackBack:0
隊列を組みゆうぐれを帰りゆく鳥には鳥の秩序あるらし
2006.07.23 Comment:0 | TrackBack:0
<われ>の内のまあるきものを撮さんと白衣の人がひかりを放つ


目閉ずるべからずと言われ魚(うお)になる心も魚になりたきものを


まだ眠いわが目よ、起きよ 曇り日の宙を飛ぶ牛がテレビに映る


約束になかった地震 十一月がはじまって十一月の約束あれど


この世にはできるだけ少し残すべし たとえば写真はたった一枚


生きるとは「ただ日が暮れてまた朝がくるだけ」と言いし人を忘れず


人肌の燗(かん)とはだれの人肌か こころに立たす一人あるべし


夜の部屋の中心に置く白き杯 愁思の海を誰に語らまし


吹かれつつ冬の鷗がひるがえりモノクロームの渚がつづく


日本海、二月の波を見つつゆくワンカップの酒車窓にならべ


バーボンをバッファロー酒場(バー)で飲む夢はスタインベックの本へ戻しぬ


五百年垂直の杉 三角形(トライアイングル)のてっぺんを見し一人もあらず


じんじんと廻る時間の廻り跡 切り株に今日のほそき雨降る


形なきものが食いたし 歌舞伎町にこのわたとろろかにみそで飲む


米国を憎めずに来し日本の60年年よ 途方にくれて


絵の中に踊る男は左足をあげつつ四百年またたくまなり


地震(ない)くれば深く水漬かん地下駅のベンチに座る 君と並びて


大阪弁をしゃべるカーナビ 西空に虹でんがなと言いにけらずや


ケイタイタンカというはただよう火水木クリオネのごと透きてただよう


君の<われ>に私の<われ>を重ねつつ待っていたんだ 百年の船
2006.07.22 Comment:0 | TrackBack:0
採血器に立ち居し春の血液が十本となり提げられてゆく


午後の雨がつつめる家にわれはわが包丁を磨ぐ 鰤を待たせて


昨夜(きぞ)の風に千二百万男女の吐く息払われ秩父連山澄めり


十勝野の百年間に降りし雪、遠き雪、近き雪、今日積もる雪


掘りすすむときの楽しさ思うなり春のもぐらが盛り上げし土


若草山の上に登れば型どおりに花と大仏殿が見えて楽しも


雨あとの桃のちいさ実 葉の間(あい)に産毛ひからす 夏ちかみかも


湯につかり山のかなかなを聞いて居り 死ぬまで黙らぬつもりかおまえ


百年以上生き来し本を招集す 赤き老婆、青き老爺、茶の老法師


はまぐりを身を熱くせり 旨酒とはふはふはふの春の夕ぐれ


庭一面に降りて一夜を遊びたる桃の落ち葉よ 今朝は静まる


モジリアーニの女(ひと)ばかり座れる電車なりわが目の奥に血のにじめれば


秋分に今年はじめての蛇を見ぬ黄の薔薇ひらく下(もと)にしゅるんと


赤と黄のスキー板を並べ売り春の花屋のごとき明るさ


ジョニ黒を飲んで昔へ帰らんよ赤ラベル・コンビーフ缶を買い来て


濡れつつぞわがゆく山路 顔赤き雉子のおのこも濡れつつあらん


夏の梅身震いをしてよろこべり わが撒く朝の水の愛撫に


見下ろせばネオンの町に一本の町の縫い目のはしれるが見ゆ


鳥の目を楽しみしのち 魚の目を思いつつ飲む 百年の孤独


しずかなる鉄棒ありて公園にほそき雨ふる あさぼらけかな
2006.07.22 Comment:0 | TrackBack:0
左手(ゆんで)もて右指にガーゼを巻くときにわが半生のふいに愛しも


布の花グラスにさはに挿し入れてこの世にはなき水をそそげり


さはさはと甕に挿す百合夜の更けにゆるき書体のごとくほどけつ


巻くよりも折るを好めり紙と紙ひらたくさむく身を寄するゆゑ


白薔薇が枯れいそぐ冬誰かわれに最上級形容詞贈りくれぬか


子に送る母の声援グランドに谺(こだま)せり わが子だけが大切


十月の跳び箱すがし走り来て少年少女はぱつと脚ひらく


アイロンの熱きくちばしワイシャツに押し当て唄ふ<遠くへ行きたい>


舌びらめの半身に胡椒をふりながらのっぺら坊の夜がわれに来る



        栗木京子歌集「綺羅」(平成6年)
2006.07.21 Comment:0 | TrackBack:0
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)


紫陽花の小弁の花を摘むごとく呼び出され君と逢ひし日のあり


トルソーの静寂を恋ふといふ君の傍辺(かたへ)に生ある我の座らな


夜道ゆく君と手と手が触れ合ふたび我は清くも醜くもなる


少しづつ逞しくなり少しづつ疎まれはじむ迷ひ仔猫は


職場といふ穴より夕べ這ひ出でて賑ふ街にスカーフを買ふ


舞ふ雪とその影と地に重なれり子音を追ひて母音降るごと


いづこへとひかれゆく子か抱(いだ)きても抱きてもからだかしげて眠る


子の乗りし眠りの舟をゆすりやる再び覚めて岸に着くまで


カステラに泌みゐる光ひとひらづつ切り分けながら我が冬を閉づ


排泄し排泄し春に向かひゆく季節か宙(そら)を軋ませて雪


花束をほどけば細き茎をもつ花のさびしく顔そむけ合ふ


すっぽりと冬の咽喉(のみど)に呑み込まれ謎々を出す子と向かひおり


冷えすぎのメロン家族(うから)に切り分けて夫の肩書きに我も列なる


人にまぎれ回転扉押すやうに幸せにふと入りゆけぬか


嘘なれど希(ねが)ひもてれば満ち足りて友に短き近況を書く


異星人いくたりまぎれゐるならむスクランブル交差点扉のごと開く


鶏卵を割りて五月の陽のもとへ死をひとつづつ流し出したり



         栗木京子「水惑星」昭和59年

2006.07.20 Comment:0 | TrackBack:0
雛のすしに散らすみどりの絹さやのほろ苦きほどの愛保ちきぬ


天敵をもたぬ妻たち昼下りの茶房に語る舌かわくまで


女らは中庭につどひ風に告ぐ鳥籠のなかの情事のことなど


粉砂糖ひとさじ掬ひわたくしに足りないものは何ですかと問ふ


庇護されて生くるはたのし笹の葉に魚のかたちの短冊むすぶ


扉(ドア)の奥にうつくしき妻ひとりづつ蔵(しま)はれて医師公舎の昼闌(た)け


子のために面接試験に連れ立てりジオラマめきて冬の家族は


濡るることいまだ知らざる傘の花ひしめきてショーケース華やぐ


茹でし黄身の周りわづかに緑色帯ぶるほどの羞恥か生くるといふは


飢餓感にちかき空腹感きざす雨のひと日を吾子とこもれば



        栗木京子「中庭」平成2年
2006.07.19 Comment:0 | TrackBack:0
夕映えの赤きをぬぐふ雲のありをみなと生(あ)れしことを悔ゆるな


火はなべて孤独なるゆゑかがやけり路地の梵火も原子炉の火も


亡き父に似る人ゐれば手を貸しぬ老人は怖いよと父は言ひにき

人のために叫びしことなし水仙の球根ふかく地に埋めておく


くれなゐの布ひやびやと裁ちゆけば鋏は光る裸身となりぬ


種子と種子ふれてはならじと青ぶだうつつみてみのる甘き水あり


はつ夏のトンネル昏し 入り口から出口まで同じ恋と思ふな


紅茶へと垂らす生蜜にひとすぢの音はひかりつつ四月ははじまる


やりきれぬ空の青さよ虐待をされても親を庇うなり子は


少しづつ母が親友になりてゆく葡萄色のスカーフ借りて返して


寝入らむとするたまゆらを足元よりするりするりと我を呑む魚のあり



       栗木京子歌集「万葉の月」平成11年
2006.07.19 Comment:0 | TrackBack:0
猫も犬も金婚夫婦も昼寝かな(横須賀市・田畑房雄)
2006.07.18 Comment:0 | TrackBack:0
在りし日の父は聞きにき毎日のラジオが告げる株式市況
2006.07.18 Comment:0 | TrackBack:0
崩れゆくビルの背後に秋晴れの青無地の空ひろがりてゐき


のりしろに紙を重ねて平らかに身ゆる世界よテロより半年


靴下をはきたる救助犬あまた火災の熱のこもる地を嗅ぐ


大統領の妻はなにゆゑいつ見ても笑顔であるか次第に怖し


晴れわたる卯月の空よわが一生(ひとよ)ひとを殺さぬままに終はれるか


隣室に武器の音聞くこともなく生き来て春の菜を刻みおり



舟遊びのような恋こそしてみたし向き合ひて漕ぎどこにも着かず


ほほゑみにレースの縁取りあるやうな若さを遠き二十歳(はたち)と思ふ


いのちより明るき色を身ぶるひて絞り出したるのち紅葉散る


「逢ひたい」から「忘れたい」まで恋ごころ容(い)れて楕円の枇杷熟したり


夏のうしろ、夕日のうしろ、悲しみのうしろにきつと天使ゐるらむ


           栗木京子歌集「夏のうしろ」平成15年
2006.07.18 Comment:0 | TrackBack:0
春の蚕のあがりて母の朴葉餅匂う頃かも美濃のふるさと(神奈川県・宮地英子)


講演を終えかたわらを帰りゆく近藤芳美氏大きかりにき(習志野市・三橋京子)


割引のシール貼られてわが籠のレタスは急に疲れ顔なり(沼津市・森田小夜子)






1首目:お蚕さんに母の手作りの朴葉餅。原田泰治さんの絵に描かれていそうな、昔なつかしいふるさとの景色。蚕は(こ)と読むようだ。


2首目:この週は、先ごろ逝去された近藤芳美氏への挽歌が多かった。その中で、これを選んだのは、とても自然な歌だったから。「大きかりにき」で、作者が抱く近藤芳美氏のひととなりが表されていると思う。


3首目:夕方のスーパーでよくある光景。割引のシールを貼った途端に、疲れ顔のレタスに見えてきたという。おかしみのある歌。
2006.07.17 Comment:0 | TrackBack:0
無防備に首さしだしてシャンプーをさせる裸の背にも親しむ
2006.07.17 Comment:0 | TrackBack:0
西中眞二郎さんの「しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳」にて、題詠100首「029:草」に投稿した歌を選んでいただきました。
西中様、ありがとうございます。

題詠百首選歌集・その33




<029:草>草はらに靴ぬぎて読む牧水のしらとり哀しうみやま哀し   黄菜子
2006.07.12 Comment:0 | TrackBack:0
「おかえりなさい。ご主人様」電子鍵(キー)情(こころ)なく言う未来近しも
2006.07.11 Comment:0 | TrackBack:0
「おかえりなさい。ご主人様」電子鍵(キー)情(こころ)なく言う未来近しも
2006.07.11 Comment:0 | TrackBack:0
シャンプーを三度押し出し今日からはショートカットのわたしに気づく(北海道・佐藤拓子)


日本の伝統・文化好きだけど法で強制するかな、ふつう(石川県・砂山鉄夫)


ふええんと一声泣いてまた眠る夢の中まで行けなくてごめん(高槻市。有田里絵)


六月はらっきょうを漬け梅を漬け夏への助走厨に弾む(東京都・志摩華子)
2006.07.11 Comment:0 | TrackBack:0
辛うじて廃部免れか細くも校舎に響くアエイウエオアオ(可児市・前川泰信)


あやめ咲く水郷に来て我もまた花嫁送る一員となる(横浜市・岩下みち子)


入社時はがり版刷を仕込まれて退職まぎわパソコン習う(東京都・高須敏士)



2首目:偶然たずねた場所で花嫁行列にあったに違いない。水郷を花嫁を乗せた小船がゆくのは、なんとも情緒あふれている。
見ず知らずの旅人も自然に、「おめでとう」という気持ちになって拍手で送り出す。
ひとときのふれあいが感じられる。
2006.07.05 Comment:0 | TrackBack:0
前世なる誰の記憶か夢にきて藍青の月上海の恋
2006.07.04 Comment:0 | TrackBack:0
サラダ短歌



はじめて公募というものにチャレンジしてみたのです。
しかも募集しているのを知ったのが締切日の前日という無謀さ。
ええ、ええ、見事玉砕でしたわ。
そりゃそうでしょう。素敵な歌ばかりですもの。

興味のあるかたは、上のページをごらんになってみてください。





ちなみに私が作った歌はこちら。

・アボガドをきざんでふいに恋しくてトマトもう1個追加している
・はつなつの緑やさしきそら豆を朝のサラダに選びし夕べ

うん。やっぱ、こんなんじゃダメだな。。。。
2006.07.03 Comment:2 | TrackBack:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。