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100:終
交代の儀式終えたる衛兵はまたみぎひだりわかれゆきたり


099:茶
読み終えて傍(かたえ)に置きし短編の凹凸のある茶色の表紙


098:ベッド
漂流する小舟のようなりわがベッド二匹の猫と寄りあいて寝る


097:話
いっぽんのメタセコイヤは立ちませり神話の村はけぶるほど雨


096:模様
「おゆびさんの模様」と言いてべたべたとガラスに触れいし子も二十歳なり


095:裏
表紙裏の署名も古りて西日さす部屋に戯曲のあまた並べる


094:社会
バーチャルな社会に開く窓なるも多種多様なるブログありける


093:祝
吾がための祝福として降りかかる日照雨(そばえ)なるかも目を閉じて受く


092:ホテル
ゼラニウム窓辺をあかく彩りてホテルマロリーの朝あけ易し


091:命
革命の記憶薄れし港町華やかにカリヨン聞こえきぬ


090:質問
五段階自己評価とう質問に答えあぐねて爪切る夜なが


089:こころ
そしてこころはからから渇いていくだろうこの星が水に溺れるころに


088:暗
暗々(くれぐれ)と降りみ降らずみ晩秋(おそあき)に海渡りするアサギマダラは


087:テープ
小刻みなスラーが続く 指合わせ繰り返し聴くレッスンテープ


086:石
宝石を散りばめられし王冠の身に覚えなき重さ思いぬ


085:きざし
気象図に冬のきざしの顕(た)つ見えて初雪降ると予報士は言う


084:退屈
カーニバル雨天中止の退屈はジャックスパロウが海に沈めた


083:筒
掛筒に野菊一輪あるごとくほの明るめるおおははの笑み


082:サイレン
サイレンはただ音として過ぎゆきぬ旅の窓辺のサフィニア赤し


081:露
朝露に足裏(あうら)ぬらして戻り来し白猫(はくめう)の目の細きひかりよ


080:富士
富士に立つよろこび伝うEMAIL東雲の空添えてとどきぬ


079:塔
見はるかす塔のめぐりに口ひらくガーゴイルたちの耳は尖れる


078:経
夏を経て秋に至れる樹の声の色深まるを聴く風の間に


077:写真
一葉の写真のごとき静けさに白猫(はくめう)は背を立てて居たりき


076:まぶた
千年の時くぐり抜け来し夫(つま)かまぶたに月の光溜まれる
2007.10.25 Comment:0 | TrackBack:0
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