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4月25日朝日新聞夕刊より


いい事が飴玉のように在ればいい春に吹かれつつ漕げり自転車/花山周子

ああ杉が林立していてこの国の険しさ暗く覆いつくせる

入れ替わり立ち替わり入る白き蛾を監視カメラが夜通し映す

くり貫かれたように赤かりチューリップ本日人みなわれに背けり

ゆりかもめ渦巻いている空間にわれの涙も混じりいるかな

小糠雨地を湿しいる明るさの父の磨いた薬缶が光る

伐採さるるときに最後の花粉をば吐きて倒るる杉を思えり

ここまでは届かない波見下ろしぬ白く眠たいテトラポットに



はなやましゅうこ
80年生まれ。「塔」所属、「豊作」同人。
歌集『屋上の人屋上の鳥』



歌人・花山多佳子は母親。歌人・玉城徹は祖父にあたる。
1首目:上の句がいい。ひとは皆、いつか「いい事=飴玉」をもらうために日々頑張っているのだ。下の句は、春風に吹かれつつではなく「春にふかれつつ」がおやっと思ったが、やや平凡にも思う。「漕げり自転車」と倒置したところに、若い力が感じられる。

2首目:「ああ」は感嘆。タイトルになった歌だが、わかるようでわからない歌だ。作者はそう思っている、で流していいかな。

3首目:監視カメラに虫が寄ってくるという図がわかりやすい。蛾が不気味さを出している。たぶん斑のある蛾だと思うが、監視カメラには光の具合で白くしか映らないのだろう。現社会を象徴しているのか。

4首目:赤いチューリップが「くり貫かれたように赤い」と作者は感じている。ここは作者の感覚なので、さらっと読んだほうがよいと思う。下の句の思いは、共感しやすい。「人」は紙上はルビがふってあったが、ひらがなにしたほうがよかったと思う。

5首目:「ゆりかもめ」に、わたしはすぐに電車のことかと思ってしまうのだけど(笑)、ここは純粋に鳥のゆりかもめのこと。「渦巻いている空間」というのがわかりにくい。ちょっと自己陶酔している歌であろうか。

6首目:上の句は、小糠雨の明るさを言っている。下の句は、やかんが光っているという。それは父が磨いたやかんだという。「明るさの」は、小糠雨にもやかんにも作用している。「の」が上下を絶妙なバランスでつないでいる。

7首目:ニュースなどで見た映像がうかぶ歌である。「最後の花粉をば」に、作者の思いが表れている。

8首目:これもまたわかる歌。テトラポットに座って足元の波を見ている。「眠たい」が打ち寄せる波のリズムを感じさせる。
2009.04.26 Comment:2 | TrackBack:0
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