上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--
高みより落ちゆく時間(とき)は長からむ青葉ふた片みずから散りぬ

闇ふかき谷間を駈くる音ひびき窓の灯りに人を恋うロバ

葉陰より君がさしだす桜桃(スリーズ)のわがくちびるにふれて地に落つ

サラダ菜を花束(ブーケ)のように差しだして若き八百屋のはじめての市

三回の接吻(ビズー)の慣わしもつ人と知らず四つめ宙にする我

泣き童子おしゃべり童子わらい童子、小馬(ポネ)をみつけて皆はしり出す

夏の陽を吸いし葡萄(シャスラ)の実を摘めば蜜の光を放ちて重し

主語なくば文なりたたぬ国で書くわが日本語に多き「私(わたくし)」

被爆者のかたえに訳す証言を五度くりかえし五度こころ慄う

この星の終焉ちかしと思う間もくちびるに愛(かな)し三十一文字は



「心の花」所属の美帆シボさんから、歌集『人を恋うロバ』をいただいた。美帆シボさんは、フランス在住で30年近く平和活動をされている。歌集のあとがきによると、短歌を始められてから今年は11年目になるようだ。フランスでの生活が四半世紀におよぼうとしてきたとき、それまでにない精神的窮地に追い込まれたのが短歌を始めたきっかけという。

2首目は、歌集のタイトルにとられた歌。2000年に朝日歌壇賞(選者:近藤芳美)を受けられたときの歌である。

5首目。ビズーは、挨拶や意思表示のため、子どもや親しい間柄で頬にする軽いキス。この歌のまえに「わが夫の故郷の習い右左また右左と頬に接吻(ビズー)す」とあるので、地域によってビズーの回数が違うのだろう。すっかりフランスの習慣になれたつもりでいた作者のとまどいが感じられるようだ。

9首目はわたしも心が震えた歌。とてもいい歌だと思う。


続いて、もうすこし美帆シボさんの歌を紹介したい。



美帆シボさんのプロフィール

早稲田大学西洋史学科卒。フランス在住。1982年にフランス広島・長崎研究所を結成。
日本でアニメ「つるにのって」を製作、普及。また、世界平和を希求した巨大な綴れ織り「世界の歌」の日本展示を実現。2000年度、朝日歌壇賞受賞。著書『フランスの空に平和のつるが舞うとき』他。


2009.12.02 Comment:0 | TrackBack:0
Secret

TrackBackURL
→http://kinakotanka.blog57.fc2.com/tb.php/2631-6350326d
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。