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一途なる半人半獣(ケンタウロス)の君にして駈けさる朝のリラは薫りぬ

赫々とロワール河の陽に染まり君の故郷を我がものとする

夕靄の坂の上より流れ来し魔の気をふかく吸いしわが胸

年々に五重の塔は沈みゆき古都はるかなり高層の駅

うるわしき箱うるわしき紙幾重あけて現る玉の和菓子は

夕立は焦げたミシンを打ち洗いつと立ち去りぬ廃墟の彼方

地下室の慰霊の壁に刻まれし人の名と歳ほのかに浮かぶ

生きたまま投げこまれたる人の井戸に盛られし土は花を咲かせり

雪ヶ原連なり歩む群れながく憑かれし人の影に見ゆるも

しなやかに動く装飾シャム猫は客を見ぬふりして賛辞まつ


美帆シボさんは、フランスの郊外の街(マラコフ)で暮らしておられるが、平和活動家として、また日本の相模女子大学の客員教授として、フランスを日本を行き来されているそうだ。
4首目5首目は、日本に帰国されたときの歌。「帰るたび知らぬ言葉がふえている行く街角に田舎の駅に」という歌もある。
6首~8首目は、1944年にナチス親衛隊に住民を虐殺され廃墟になったという、南フランスのオラドゥールを詠んだ歌。「焦げたミシン」は、歌集の前半にも出てくる。「黒焦げのミシンに小雨が降りしきるナチの暴虐オラドゥール村」。前述の歌が収録されている第Ⅱ章には、長崎、コソボ、イラクについて詠んだ歌、対人地雷を擬人化した歌など、平和活動家の面が強く表れている。

人を恋うロバ/美帆シボ
ながらみ書房

フランス語と日本語で、原爆を、平和を、日本を、世界を考える。
美帆シボさんは、フランスに住み、フランス語圏に原爆の実相を伝える活動を展開している。
ヨーロッパと日本の人や風景を、知性的かる清潔な抒情でうたいあげた待望の歌集である。(佐佐木幸綱)

2009.12.06 Comment:0 | TrackBack:0
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